●牛島(うしじま)[
塩飽諸島]
★丸尾五左衛門・長喜屋長兵衛
●住所/香川県丸亀市
●面積/0.84km2
●周囲/4.2km
●標高/95m
●人口/8人(R2)・11人(H27)・14人(H22)・18人(H17)・18人(H12)・26人(H7)国勢調査
●アクセス/[
本島汽船(丸亀市)]
丸亀港→里浦港(15分)/
本島港→里浦港(5分)
概要
★牛島は丸亀港から連絡船で15分、讃岐・本島の南約1.2kmに位置する島。周囲4.2km、東西が小高くなっており、東側の山が最高点で95m。北に里、南に小浦の2集落がある。島名は牛の放牧に由来か?
★江戸時代初期に肥後熊本藩の五左衛門長雲という武士がこの島に移り住み、後に「内海の海上王」とまでいわれた廻船問屋「丸屋」の礎となったという話が残されている。「丸屋」は代々「丸尾五左衛門」を当主とし受け継がれ、2代目五左衛門重次の時代に幕府直轄の海運業者となり繁栄を極めた大船持。豪商「丸屋」の時代は18世紀の半ばまで続いたが、幕府の方針改めにより直営から請負制となったことで次第に勢いは衰えいった。その後も海運の伝統は生かされ、万延元年(1860)の咸臨丸米国渡航にはこの島から水夫2人を出し、明治から大正にかけては船大工から発展した塩飽大工を多く輩出している。
★昭和42年、牛島小・中学校は本島小・中学校に統合。平成元年公開の映画「極道の妻たち 三代目姐(降旗康男監督)」のロケ地。
★平成22年の国勢調査では人口14人、高齢化率78.6%。300年前、豪商で栄え、昭和の時代にミカンで黄色く輝いた島も、遠くに霞む瀬戸大橋や丸亀市の街並みを眺めながら、静かに時の流れのなかに佇んでいる。
見どころ
極楽寺…丸尾家歴代の墓がある寺。五左衛門と同じくこの島を拠点にした大船持・長喜屋宗心が延宝5年(1677)に寄進したと伝わる梵鐘「(無間(むげん)の鐘」(市指定文化財)が残されてる。この鐘をつくと一度は金持ちになるが、その後没落して無一文になるという伝説があるので誰もこの鐘をつく者はいないという。寺は荒れた状態だが、観音堂は島出身者の寄付により、平成7年に再建。
丸尾屋敷跡…瀬戸内随一の豪商とうたわれた丸尾五左衛門の屋敷跡。今では上物はなくなり石垣だけが残る。岡山県金光町の寂光院の庫裏は丸尾五左衛門の居宅を移したもの。
聖神社…極楽寺の隣にある長屋門風の建物。向って左手の燈籠には「丸尾五左衛門」、右手の灯籠には「長喜屋長兵衛」と刻まれている。
池神社…小浦港の近くにある社で島の氏神を祀る。塩飽大工によって建てられたもので、江戸時代前・中期に作られた灯籠が残っている。
赤灯台…昭和9年初点灯。高さ約10m、海中に立つ赤色の灯台。本島との狭い水道は浅瀬も多く、古くから難破・座礁事故が多発。この水道を行き交う船の安全を守ってる。